クリスマス文学としての意味

                                                

             

             
この小説は「フランダースの犬 クリスマスの物語」といい、クリスマス文学です。

ネロは、キリストが生まれたクリスマスの明け方にひっそりと天に召されていきます。  
それも聖母マリアの昇天が描かれた祭壇の前であり、キリストが十字架にかけられ、おろされる宗教画の前という聖なる場所です。

この物語は悲しい結末を迎えますが、2人は幸せだったと思います。
あれほど見たかったルーベンスの2枚の絵を見ることができたからです。

               
物語の終わりに「2人にとって生きながらえるよりも死の方が情け深かった。愛には報いず、信じる心には信念の現実をみせようとしない世界から、死は、誠実な愛を抱いたままの犬と、信じる清い心のままの少年と、この2つの命を引き取った」とあります。
                
キリストは、すべての人間の罪を一身に背負い、人々の身代わりとなって十字架にかけられ死にました。
ネロもまた、まわりの大人たちの無関心、薄い情けに苦しみながらも、誰を責める事もなじる事もなく、静かに神のもとへ旅立ち人々の罪を清めました。

             
この結末と「クリスマスの物語」というタイトルに、作者はキリストの精神をこめたのではないでしょうか。


                     


                           


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